Report

キックオフ イベント
レポート「Learn by Creation NAGANO が目指す自治(つく)る学び」
2021.02.01

レポート「Learn by Creation NAGANO が目指す自治(つく)る学び」

【プログラムの概要】

 三週間にわたる Learn by Creation NAGANO キックオフイベントへの扉を開く本セッションは、登壇者と視聴者の垣根を超えて長野県の「学びと自治」について語り合う会となりました。今回のLearn by Creation NAGANO のテーマは「私たちで自治(つく)る学び」。登壇者も視聴者も、お互いの学びにおける原体験や長野県での様々な取り組みを紹介しあい、立場を越え、地域を越え、そして共につくっていく三週間のはじまりを告げる一体感のあるセッションとなりました。

【ハイライト】

このプログラムの特色は、やはり行政を中心的に担う二人が登壇されていたことにあります。まずはそのひとり、阿部守一知事が、長野県の掲げる「学びと自治」は、転換期を迎える今の社会の中で教育にとってだけでなく、コロナ禍の人の振る舞いにとっていかに重要かを説きました。さらにその発言を受けた、長野県教育委員会事務局高校改革推進役の内堀繁利さんは、長野県が目指す今後の学校のあり方において「子どもたちが集団を成立させられるようになることは重要だが、それは目的ではなく手段だ」と語りました。教育の目的として、個人さえよければいいというわけでも、集団に適応させればいいというわけでもない、自律性を重んじ「学びと自治」が通底する長野県を象徴するオープニングセッションとなりました。

さて、プログラムの詳しい内容については前掲の動画をご覧いただき、このレポートでは、様々な立場の方から本プログラムのどの話がどのような捉え方をされたのかを中心にご紹介します。

内堀さん「長野県が目指す学びとは、学校が閉じた環境ではなく、小学生も全て社会の構成員の一人であるという認識で具体的な行動、アウトプットに結びつく市民としての学びです」

この Learn by Creation NAGANO に、なぜこれほどまでに教育分野外の方々が多く参加し、その視点からのプログラムがこれほどたくさん盛り込まれているのか、理由が分かりました。「学校の学びがどうあるべきか」を考えるためには、社会の視点が必要になるということなのだと思いました。ー公立学校教員

質問者の曳田さん「探求学習をはじめとしてProject-Based Learningは重要だと自分は確信しているが、教員として保護者の方々からこの学び方だけで本当に進学は大丈夫なのかという不安の声が上がる。それに自信を持って答えることができない。子どもたち、保護者、私たち教員が自信を持てるようになるためにはどうすればよいでしょうか?」

阿部知事「それは私たち自身の価値観が変わらなければならない。さらに今の日本の入試の制度と社会の価値観が一致していない。自分は運動会などが苦手で、それがもとで学校が嫌いになった。今の教育は、一律全てができるようになるという前提になっていて、学校もそれに基づいている。入試で測れない能力を評価できるようにならなければならない。」

この質問者の話は、教員の方の立場を代弁しているのではないでしょうか。ー自治体職員

どんなに時間がかかっても、困難でもこの価値観の変化に取り組んでいるのだという意識を持てるようになれました。一方で、現場で新しい学びに取り組む教員のジレンマを代弁した発言だったと思います。ー私立学校教員

井上さん「新しい学びに取り組む方に対してのメッセージを」

竹村さん「同じ目線で対話のできる仲間が重要。孤軍奮闘ではどんなに思いがあっても継続するのが難しい。お金なども重要だが、お金なくてもできることは工夫するとある。まずは同じ目線で対話できる仲間と、その仲間たちと挑戦できる環境を整えることが重要だと思う。」

まさしく、孤軍奮闘せずに一人ひとりが挑戦するために Learn by Creationがあるのかと得心しました。ー私立学校教員

「世の中的には、いい学校、悪い学校ということが言われるが自分はその評価は間違っていると思う。人はそもそも多様なのに、良い悪いという軸だけで一律なのが間違っていると思う。長野県で今いろいろな学校が増えているが、今後さらに学校のあり方、学びのあり方は学ぶ人に応じて多様でなければならないと思う」

公立学校、私立の学校それぞれ事情はあれど学校ごとの特色や良さ、教員の多様性もさらに豊かなものにできればと思いはじめました。ー私立学校教員

【全体の感想】

100名を越える当日視聴された方々からも、多くの反響をいただいたのでその一部をご紹介します。

  • 東京では生まれにくいコミュニティというものが長野にはしっかり根ざしてあるということが実感できた。東京の方がむしろ学校は学校で、という形で閉じているように思う。
  • 「越境」が全体を通したテーマのように思えた。県知事、教育委員会、民間のそれぞれの立場から越境の重要性を語ってくれていたように思える。
  • 知事の言葉の一つ一つがとても心に残りました。コロナと学びに共通する本質の4つのポイント、そして最後のメッセージにあった学びの多様化の話。ともすると組織的、構造的にしようとすると脇に置きがちなところに立ち戻りたいなと感じています。
  • 長野県としての具体的な取り組みが聞けて良かった。阿部知事が教育に対してとても柔軟なお考えを持たれている事に大きな期待と希望を感じました。この企画じたいが素晴らしい取り組み。長野県から日本の教育を変えていって欲しいです。
  • 予測困難な時代に生徒が自分たちの力で自分たちの社会を創っていく意識を醸成し、行動していける力を育成していきたいと思います。大人が子供達の多様性を受容する意識をもつことが最も重要だと思います。全ての学校が多様性のある学校として社会から尊重されるように行政でも政策を考えて頂けましたら幸いです。
  • 長野県の目指す教育の形がよく伝わってきました。学びと自治という概念は全国に広がってほしいと思いました。
  • 公立校などでのイノベーションは、いろいろな制度上の縛りなどから難しいのではないかな?と勝手に思い込んでいたことに気がつかされた。ここまでフレキシブルに考えてらっしゃる知事や教育委員会の方がいらっしゃることがうれしかったです。
  • 知事のお話が素晴らしかったです。新たな学びづくりを県トップがしっかりとお考えになり実行にうつされており、日本の未来にまたひとつ期待が持てました。また、ちょうど先日ラーニングセンターを中心におく学校を取材したばかりで、今後の学校建築デザインというテーマが頭の片隅にあったため、デザイン検討委員会のお話は興味深く、もっとお聞きしたいと思いました。風越学園様の取り組みも大変興味があるので曳田様のご登場も嬉しかったです
  • 他県からの参加ですが,知事や教育委員会の方が公の場で教育をこのように変えていきたいと熱く語る姿を拝見して,羨ましく感じます。長野県だけでなく,他の都道府県もトップの方が現場の先生方,一般市民の方々を巻き込んで訴えていく必要があるのではないでしょうか?