Report

レポート
レポート「違いの味わい方 ”みんな違って、みんないい”の半歩先へ」
2021.12.23

レポート「違いの味わい方 ”みんな違って、みんないい”の半歩先へ」

最先端の学びや長野県に継承されている実践に触れるイベント、「プレーヤーズコネクト2021」。
今回はテーマを「違いを味わう」とし、違いをいかして、共につくり、そこから学ぶことについて、参加者と共に考えました。

オープニングを飾ったのは、インクルーシブな社会を実現する上で考えたい、違いの味わい方をテーマにしたセッションです。

プログラムの概要

2021年12月18日 9:00~10:30
■違いの味わい方 ”みんな違って、みんないい”の半歩先へ
登壇者:阿部守一(長野県知事)、川向思季(長野県立大学グローバルマネジメント学部生 / 合同会社キキ)、野口晃菜(インクルージョン研究者 / 博士(障害科学))

インクルーシブな社会や教育の必要性を感じつつ、しかし、人は、相手も自分と同じ人間であるという根本を捉えているようで捉えきれていないのではないかという問いから企画がはじまりました。

「みんな違っていることは、個性であり、創造性を豊かにし、認め合うこと」と頭では理解できるのだが、「普通はこうだよね」と、普通の押し付けが横行する社会構造こそ、見返し見直すべきことがあるのではないでしょうか。 今回はインクルージョン研究者の野口さんをホストに、阿部長野県知事、大学生の川向さんと、三者三様な登壇者の対話を通じて、そもそも違うとは何か、「みんな違って、みんないい」の”みんな”とは誰かを、一緒に味わいました。

 

 

当日のハイライト

野口 晃菜さん(インクルージョン研究者/博士(障害科学)):

● 道徳の教科書では、差別は個人の努力でなくせる、個人の問題であるとされている。制度に組み込まれている差別については個人の意識だけではなくすことが難しい。

●「障がいって個性だよね」は、障がいのない人が言ってしまいがち。そこでいう個性とは医学モデルであって、社会モデルとしてみていない。自らの中にある無自覚な偏見を自覚する。

● 社会がマジョリティ特権者仕様につくられていて、マイノリティのことを想定されていない。自ら優遇されていることに気づかないかぎり、真の意味でのインクルージョンは望めない

● ひとりのなかにマジョリティ/マイノリティが両方あることを自覚するのが大事(見方や環境によって変化する)

 

阿部長野県知事:

● これまでの日本の学びの場は画一的。「この時間はみんなでこれをやりましょう、同じことをやりましょう、同じことができないと何をやってるのか」と言われてしまいがち。未来に向けてどんな学びの場が望ましいのかということをいま一度しっかり考え直し、画一的な学びから探究的な学びへ、もっと推進しないといけない。そしてそのことが、差別を生まない、差別の温床となる多様性を否定する社会を変えていくことにつながるのではないかと感じた。

● 知事ができる教育分野での解決策は実は限られている。私も頑張るが、社会教育を最前線で変えていくのは現場。しっかり声を上げられる社会/やるべき人がやれる(きちんと責任と権限がある)社会にすることが必要。

● 知事だけではできないことがたくさんあるので、横のつながりが大事。多様性を尊重する社会をみなさんとつくっていきたい。

 

川向 思季(長野県立大学グローバルマネジメント学部生 / 合同会社キキ):

● 環境によってマイノリティ/マジョリティが変わる。マイノリティとマジョリティのグレーゾーンがあるんだろうなと感じた。

● 教育現場ではできないことをできるようにすることに重きを置かれがちだけど、それよりもできることを伸ばすとか、できるできないは置いといてやりたいことをやれる環境を作り、自分を大事にすることで、ちゃんと相手も大事にできるようになるきっかけの一歩になるのではないか。

● 知事の熱いメッセージにポカポカした。 一人ひとりが自分なりの美しい世界を描いて、それに向かってちょっとずつ自分やまわりにとっての良さを少しずつ増やしていくことで、生きやすい社会になるのではないかと思う。過去の方々もそうやって取り組まれてきた。私も自分が未来を創ることを楽しみながら、一歩一歩踏み出せていけたら。

(登壇内容一部抜粋)

 

参加者からの声

当日視聴された方々からも、多くの反響をいただいたのでその一部をご紹介します。

・改めてマジョリティ、マイノリティについて考えるきっかけになった。普段の当たり前が当たり前じゃないなど、考えるきっかけが作れました。
・マジョリティ、マイノリティその間のグレー、マイノリティーについて再認識しました。自身も気を付けなければと肝に命じました。(普通にマイノリティーの特権を特権とも思わずにいること)
・難しい話にもなりがちなテーマの中で分かりやすく、しかも今の自分たちの立ち位置を理解できるような内容でとても参加して考えるきっかけになりましたし、次につなげたいと思いました。
・障害や差別への向き合い方について改めて考える機会を得られた。

アーカイブ動画視聴チケット販売中

Peatixにて3/31(2022年)まで販売&視聴可能(無料公開は4/1から) ▼
https://lxcnaganoarchive.peatix.com